日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
慢性腎不全での赤血球アルミニウムの測定
本宮 善恢大山 信雄益田 真理野田 昌代新井 邦彦佐々木 憲二岡島 英五郎
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 28 巻 6 号 p. 973-978

詳細
抄録

健常者24名, 保存期腎不全症例11名, および血液透析患者98名, 計133名において赤血球アルミニウム濃度 (RBC-Al濃度) を測定し, 血清アルミニウム値 (S-Al値) と比較した. 血液透析患者は導入期症例13名, 水酸化アルミニウム剤 (Al剤) 服用歴を有する維持期症例61名, Al剤の服用歴のない維持期症例24名であったが, RBC-Al濃度, S-Al値ともAl剤服用例で著しく高値を示した. S-Al値は保存期症例で7.6±3.8μg/l, 導入期で6.4±4.6μg/lと, いずれも健常者と差はみられなかったがRBC-Al濃度は健常者全例2μg/1013 cells以下に対し, 保存期症例で5.74±2.33μg/1013 cells, 導入期症例で13.82±6.57μg/1013 cellsと, 有意な上昇を示した. 全症例でのS-Al値とRBC-Al濃度の相関はr=0.761, p<0.001と良好であった. またAl剤服用歴を有する維持期症例35例で測定されたdeferoxamine (DFO) 負荷Al上昇値 (ΔAl) との比較ではS-Al値, RBC-Al濃度いずれも有意な相関を示したが, RBC-Al濃度との相関がより良好であった. これらの結果からRBC-Al濃度の測定はAl蓄積量推定に有用であり, かつS-Al値に比べ正確な情報が得られることが示された. またAl汚染は依然として透析現場では無視できない問題であることが確認された.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top