日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者に発症した自然脾破裂の1例
満生 浩司原田 篤実武田 一人鶴屋 和彦杉浦 啓介住元 一夫
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1995 年 28 巻 7 号 p. 1095-1099

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抄録

症例は49歳男性. 平成3年8月より慢性糸球体腎炎よりの末期腎不全にて血液透析療法を開始した. 平成5年9月より左側腹部周辺の間欠的な疼痛を自覚するようになったが, 腹部超音波, 胃内視鏡, 心電図にて異常はみられなかった. 11月17日の夜間透析中より疼痛が増強, 翌18日早朝より, 疼痛とともに気分不良, 腹満感が出現し, 緊急入院となった. 血圧68/-mmHg, Ht 19.6% (前日のHt 26.1%) と低下し, 出血性ショックの状態であった. 緊急腹部CTにて脾臓内血腫と周辺への腹腔内出血を認め, 脾破裂と診断, ただちに脾臓摘出術を行った. 開腹時約2,000mlの血性腹水を認め, 脾臓は著明に腫大し, 脾門側に被膜の亀裂から突出した血腫がみられた. 術後経過は良好で, 現在外来維持透析を続けている. 病理組織学上, 血腫と二次性の梗塞像を認めるのみで, 原因となる基礎病変はみられず, 自然脾破裂と考えられた. 慢性血液透析患者での自然脾破裂の報告は過去に1例のみで, 極めて稀であるが, 早期に適切な治療を行えば予後良好であることや, 透析で使用される抗凝固剤の関与が示唆される点から, 透析患者の急性腹症の鑑別診断のひとつとして念頭におく必要があるものと思われた.

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