日本透析医学会雑誌
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維持透析患者での血管病変と一酸化窒素 (NO)
大動脈石灰化係数との関連について
大山 信雄本宮 善恢杉原 清貴土肥 和紘岡島 英二郎米田 龍生吉田 克法大園 誠一郎平尾 佳彦岡島 英五郎
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1997 年 30 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

我々は, 維持透析患者において, 一酸化窒素 (NO) の最終代謝産物であるNO2-/NO3- (NOx) を測定し, その血漿中濃度が, 透析間欠期間での蓄積分を考慮してもなお高値を示す症例があることより, 何らかのNO産生亢進を伴う病態が存在することを明らかにし, 報告した. また, 生体内でのNO産生の最大の場はマクロファージを含めた血管系組織であることから, 今回, 29例の維持透析患者において血漿中NOx濃度と大動脈石灰化係数 (ACI) およびAnkle Pressure Index (API) を比較し, 透析患者特有の血管病変へのNOの関与を検討した.
対象患者群での血漿中NOx濃度は42.6-367.6, 平均160.1±87.28×10-6Mであり, NOx濃度とACIとの間にr=0.701 (p<0.001), また, NOx濃度とAPIとの間にr=-0.446 (p<0.02) と, いずれも有意な相関が得られた.
今回の検討で, 維持透析患者にみられる動脈石灰化病変を主体とする血管病変と血中NOx濃度が密接に関連していることが示唆された.

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