日本透析医学会雑誌
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血液透析患者, CAPD患者におけるSoluble IL-2 receptorの検討
有本 保文坪井 一彦西尾 晃長坂 肇宮崎 哲夫内藤 秀宗
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1997 年 30 巻 3 号 p. 173-178

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抄録

血液透析 (HD) 患者27名, CAPD患者12名, 健常者 (N) 16名の血中可溶性IL-2 receptor (sIL-2R) を測定し, 細胞性免疫とも関わる血中免疫複合体 (CIC), 補体との関連を検討した.
その結果, 1) sIL-2RはHD群, CAPD群とも, N群に比し有意な高値を示し, 両群間に有意差は見られなかった. 2) 両群のCICは有意に高値を示し, HD群では, sIL-2RとC1qCIC (p<0.02), CAPD群では, sIL-2RとC1qCIC (p<0.05), C3dCIC (p<0.02) 間にそれぞれに有意な正の相関が見られた. 3) 両群の補体成分複合体 (TCC) は有意に高値を示し, またCICとTCC間に有意な正の相関がみられCICによる補体活性化が示唆された. 4) sIL-2RとCH50間にHD群 (p<0.02), CAPD群 (p<0.05) ともに有意な負の相関が見られた.
以上より, 両群のsIL-2Rは高値を示し, 高値の原因にCIC, 補体活性化が関与している可能性が示唆された. また, 両群に同様の結果が得られたことより, CICの高値, 補体活性化は尿毒症に起因する可能性が推測された.

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