1997 年 30 巻 5 号 p. 347-350
CAPD腹膜炎のうち好酸球性腹膜炎は自然治癒し, 腹膜機能を低下させない予後良好な疾患と考えられている. 我々は, CAPD開始早期より好酸球性腹膜炎を反復発症し, 除水不全をきたした症例を経験した.
本例は腹膜平衡試験 (PET) でD/P 0.973, D/D0 0.171と腹膜の透過性の著明な亢進を認めた. 腹膜の生検では中皮細胞の消失, 中皮下結合織の線維性肥厚と浮腫および好酸球浸潤を認めた. このためCAPDを中止し血液透析へ移行した.
好酸球性腹膜炎においても反復持続する場合は, 腹膜の機能障害を伴う組織学的変化をきたす可能性があり早期の対策が必要である.