日本透析医学会雑誌
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血液透析患者の自己決定尺度の開発 第2回日本透析医学会コメディカルスタッフ研究助成報告
岡 美智代安酸 史子保科 良子戸村 成男土屋 滋
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1997 年 30 巻 8 号 p. 1061-1067

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抄録

目的: 血液透析患者の自己決定尺度 (Self-Determination Scale for Hemodialysis Patients: SSHP) の開発のための研究を行った. 対象と方法: 開発は三つのステップを通して行った. 第一ステップはアイテム・プールとカテゴリー化である. 患者への半構成的インタビューを元に, 自己決定のカテゴリー化と質問項目作成, ならびに研究者らによる質問項目の妥当性の検討を行った. 第二ステップはアイテム・セレクトで, 73名の血液透析患者への調査を行った. また, 基準関連妥当性検討のため, The Health Self-Determinism Index (HSDI) との関連性の測定を行った. 第三ステップはアイテム決定で, 201名の血液透析患者に調査を行った. 結果: 第一ステップでは, 身体的不調改善のための自己決定, 医療知識・情報保有による自己決定, 患者-医療者関係に起因する自己決定の3カテゴリーからなる18項目の質問を作成した. 第二ステップは, item-total相関, 因子分析により, 身体的不調改善と知識・情報保有を統合したセルフケアに関する自己決定因子と, 患者-医療者に起因する自己決定因子の2因子構造, 15項目の質問にした. HSDIとの関連性は, r=0.67 (p<0.001) であり, SSHPの基準関連妥当性が認められた. 第三ステップでも, item-total相関, 因子分析を行った. その結果, 第二ステップと同様の2因子構造, 14項目の尺度となった. Cronbach's αは, SSHP全体でα=0.84, 下位尺度ではセルフケアに関する自己決定の因子がα=0.83, 医療者不信に起因する自己決定の因子がα=0.78であり, 信頼性が保たれていることが確認された. 結論: 2因子構造, 14項目のSSHPを作成し, 妥当性と信頼性が確かめられた.

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