1997 年 30 巻 9 号 p. 1155-1157
症例は47歳の女性で内シャントを作成し9年前より慢性腎不全で外来血液透析を施行していた. 平成8年3月31日の透析時に左前腕穿刺部に血腫を形成, 徐々に増大傾向にあったため, 5月14日に当科紹介となった. 血管造影により, 非シャント部の橈骨動脈の仮性動脈瘤と診断, 同年5月20日, 瘤切除および動脈穿刺部の直接縫合閉鎖術を施行した. 術後経過は良好である. 原因は穿刺時, 誤って橈骨動脈を損傷したために血腫を形成し仮性動脈瘤が発生したものと考えられた.