日本透析医学会雑誌
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腹膜透析患者におけるsparfloxacin (SPFX) の薬物動態学的検討
筬島 明彦穴井 博史田中 弘加藤 浩明芹野 良太椛島 成利田村 雅仁瀬川 賀世子高杉 昌幸中島 康秀
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1998 年 31 巻 2 号 p. 139-143

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抄録

肝排泄型ニューキノロン系抗菌剤であるsparfloxacin (SPFX) の腹膜透析患者における体内動態を検討した. 明らかな肝胆道系障害のない腹膜透析患者8名に本剤200mgを朝食後に経口投与し, 血漿中濃度, 透析液中濃度および尿中濃度をHPLC法にて経時的に測定した. 個人差が大きかったが, 最高血漿中濃度 (Cmax) は1.24μg/ml, 最高血漿中濃度到達時間 (Tmax) は5.5時間, 血漿中消失半減期 (T1/2) は34.0時間, 血漿中濃度曲線下面積 (AUC O-∞) は46.4μg・hr/mlであった. 健常成人を対象とした場合に比べ, CmaxおよびTmaxに大差は認めなかったが, T1/2は延長していた. 特に, 心機能の低下した症例や高齢者ではT1/2やAUC O-∞の著明な延長および増大を認めた. 投与後24時間までの透析液中における回収率は投与量の1%程度と少なく, 透析性は極めて低かった. また, 自尿を有する症例での48時間尿中回収率は1%程度であり, 排泄への寄与はほとんど無視できるものと考えられた.
以上の結果より, 腹膜透析患者にSPFXの常用量を単回投与した場合, T1/2の延長を認めるものの有効かつ安全域血漿中濃度の得られることが明らかとなった. しかしながら, 本剤には腹膜透析性がほとんど認められないことより, 長期間投与する場合や高齢者および心機能の低下した患者に投与する場合には蓄積性に注意する必要があると考えられた.

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