日本透析医学会雑誌
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ミゾリビン投与中に著明な顆粒球減少および高尿酸血症をきたし急速な腎機能の悪化を示した1例
藤崎 大整池田 裕次冨吉 義幸松尾 俊哉中村 恵黄 泰奉柴田 恵介酒見 隆信
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1998 年 31 巻 7 号 p. 1087-1091

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抄録

症例は70歳, 女性. 1991年より慢性関節リウマチ (RA) と診断され治療を受ける. 1996年4月頃, 血清Cr 2.0mg/dlと腎機能の低下を指摘されていた. 同年9月よりミゾリビン (MZ) 50-100mg/日の併用を開始されたところ, 急速な腎機能の悪化と著明な顆粒球の減少が認められたため1997年1月16日当院に紹介され入院となった. 入院時の検査所見上, 白血球数700/μl (顆粒球21%) と著明に低下していた他, BUN 151.9mg/dl, Cr 4.12mg/dlと腎機能の低下がみられ, 尿酸値が25.8mg/dlと著明に上昇していた. MZの血中濃度は5.97μg/ml (治療域: 2-4μg/ml) と軽度の上昇を示していた. 経過からMZが原因と考え, 入院後MZを中止しG-CSFの投与と血液透析 (HD) を行い, 徐々に白血球数の増加と尿酸値の低下がみられた. しかし入院12日目のHD中に, 突然呼吸困難を訴え, 心停止をきたし死亡した.
MZは比較的副作用の少ない免疫抑制剤として, 広く使用されてきている薬剤であるが, 本症例のように腎機能の低下した症例では, 重篤な副作用をきたす可能性があることが示唆された.

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