日本透析医学会雑誌
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腎不全患者に対する経尿道的手術の検討
透析患者と保存期腎不全患者との比較から
斎藤 誠一
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1999 年 32 巻 11 号 p. 1381-1384

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抄録

目的: 透析患者の長期生存が可能となった現在, QOLを重視するため, 膀胱, 前立腺に対して積極的に必要な手術がされるようになった. 本検討では, 当施設において施行した経尿道的手術症例の解析を透析患者と保存期腎不全患者との比較で行った.
対象と方法: 透析患者12例 (膀胱腫瘍6, 前立腺肥大症3, 膀胱結石1, 尿道狭窄1, 尿管腫瘍1), 保存期腎不全患者13例 (膀胱腫瘍3, 前立腺肥大症9, 尿道狭窄1) を対象とした. 透析患者においては補液, 手術時間を最小限とした. 手術後は全例3ウエイカテーテルを留置し, 持続洗浄を行った. 手術結果, 手術前後の尿量, 血液検査値の変化を比較した.
結果: カテーテル留置期間は透析患者で平均4.4日, 保存期腎不全で3.3日を要した. 手術前後で尿量に差はなく, 血液検査値の変化は透析患者でNaの低下, Kの上昇傾向が認められたが, 有意差はなかった.
結論: 透析患者に対し経尿道的手術を行う場合, 麻酔を含め可能な限り低侵襲とすることに心がけ, 止血を十分に行い, 手術後は持続洗浄とし, カテーテル留置は血尿が完全に消失するまでとすることにより, 保存期腎不全患者と同様に良好な結果が得られた.

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