日本透析医学会雑誌
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パルスフィールドゲル電気泳動法による透析液供給システム由来Burkholderia pickettiiのDNA型別
末澤 梨佳星 博金 兌貞水村 宏之中村 誠永井 誠松金 隆夫中澤 了一東 仲宣鈴木 満
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1999 年 32 巻 2 号 p. 109-116

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抄録

パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE) 法を用い, 透析液供給システムから検出された細菌の染色体DNA解析を行い, 細菌汚染の原因究明を試みた.
当院関連施設から検出されたB. pickettii 31株のDNAは, PFGE法 (Bio-Rad社) により, 8通りのタイプ (A-H) に分かれた. A施設5階のROタンク, 混合タンクから検出された菌株はすべて同一タイプ (A) を, エンドトキシン除去フィルター前から検出された菌株のほとんどがAタイプを示し, 透析液供給システム内で細菌が死滅することなく持続して生存し, 上流から下流へ流れ込んでいることが示唆された. また, 同施設4階のROタンク, Bタンクおよび混合タンク, コンソール末端液からの菌株は, 2つのタイプ (C, D) に分かれ, A施設以外の当院関連施設から検出された菌株もそれぞれ異なるタイプに属し, 同一施設内でも異なる階にはそれぞれ固有の菌型が定住し, 施設間での移行伝播はないものと考えられた.
一方A施設5階のエンドトキシン除去フィルター前, 混合タンクから検出されたPseudomonas 10株は, DNAパターンにより2つのタイプ (1, 2) に分かれ, エンドトキシン除去フィルター前から混合タンクへの細菌の混入が示唆された.
また, 検出細菌数とエンドトキシン測定値との間に相関関係は見られなかった.

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