日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者のoxygen uptake efficiency slopeを検出するための最低運動負荷水準
露木 和夫馬場 礼三松下 肇顕二宮 健次春日井 淳夫長谷 弘記海老根 東雄張 光哲
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1999 年 32 巻 4 号 p. 271-277

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抄録

慢性血液透析 (HD) 患者の信頼できるoxygen uptake efficiency slope (OUES) を検出する場合に必要な最低運動負荷強度を明らかにするために, 67例のHD患者 (HD群) と66例のclinically healthy subjects (対照群) に修正Bruce法を使用した最大運動負荷試験を施行し, 最大酸素摂取量 (VO2max) と8段階の運動負荷強度 (30-100%HR reserve) のOUESを測定した. OUESは, 漸増運動負荷中のVO2とVEとの関係を対数関数VO2=a×logVE+bで表した時の係数 “a” とした. HD群と対照群のVO2maxは, それぞれ1320.9±298.7および2109.4±607.5ml/minであった. またHD群と対照群のOUESは, それぞれ1474.8±360.1および2265.3±633.0であった. HD群と対照群のVO2maxとOUESとの間には有意な相関関係が認められた. HD群におけるVO2-VE間の曲線回帰の相関係数は, 運動負荷強度が低下するに従い低値となったが, すべての運動負荷強度で0.9以上の相関係数が認められた. 一方, 対照群におけるそれは, 運動負荷強度が低下するに従い低値となり, 50%HR reserve以上で0.9以上の相関係数が認められた. HD群においてOUESは, 運動負荷強度が低下するに従い高値となったが, 対照群では低値となった. また最大運動負荷で検出したOUESと各亜最大運動負荷の強度別に検出したOUESとが一致する信頼係数は, HD群で50%HR reserve以上, 対照群では60%HR reserve以上に0.9以上の高値が認められた. 以上の結果から, HD患者の信頼できるOUESを検出するために必要な最低運動負荷強度は, 健常者より低く50%HR reserveであると考えられた.

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