日本透析医学会雑誌
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血液透析患者におけるメナテトレノン (Vit. K2=MK-4) の骨代謝に及ぼす影響
投与前後の骨代謝マーカーの変動
高山 達也麦谷 荘一海野 智之山下 冬樹畑 昌宏鈴木 和雄藤田 公生
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キーワード: 血液透析, 低回転骨
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1999 年 32 巻 9 号 p. 1243-1248

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抄録

血液透析患者にVit. K2を1年間投与し, 投与前後の各種マーカーを比較検討した. 対象は外来血液透析患者53名. 男26名, 女27名, 29-79歳で平均年齢59.6±11.3歳, 透析期間は1.3-17.9年で平均透析歴5.8±3.6年である. 結果は, 1) i-PTHは投与前は有意な変動を認めなかったが, 投与後3, 6, 9, 12か月で投与前値に対し有意に上昇した (p<0.01, p<0.01, p<0.05, p<0.01). 有意な上昇は投与前値i-PTH 60pg/ml未満の症例にみられ, i-PTH 60pg/ml以上の症例 (n=15) では, 投与後に有意な変動は認めなかった. 2) Vit. D3は投与前と投与1年後では有意な変動は認められなかった. 3) i-OCは投与前値i-PTH 60pg/ml未満 (n=38) の症例では有意に上昇した (p=0.0388). 4) ICTPは投与1年後で有意に低下した (p=0.0005). 5) 投与前のVit. K2は5例を除く48例 (90.6%) で測定感度以下であったが, 全例で投与後に上昇した. 6) 血清Ca, Pは投与後に有意な変動はなかった. 7) PRは投与前値と3か月ごとの値と比較すると9か月で有意に上昇し, 12か月で有意に減少したが (p=0.0102, p<0.0001), 正常範囲内であった. 以上の所見から, 血液透析患者ではVit. K2が低下傾向にあり, Vit. K2投与が骨形成に働き, 特にi-PTH低値の症例にi-PTH上昇がみられ, 骨代謝回転を改善する可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本透析医学会
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