日本透析医学会雑誌
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わが国の慢性透析療法の現況 (1998年12月31日現在)
日本透析医学会統計調査委員会
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キーワード: 透析, 統計, 死亡率, 介護
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2000 年 33 巻 1 号 p. 1-27

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抄録

1998年末の日本透析医学会の統計調査は3,095施設を対象に実施され, 3,085施設 (99.67%) から回答が得られた. 1998年末のわが国の慢性透析患者数は185,322人であり, 昨年末に比べて9,334人 (5.3%) の増加であった. 1997年末から1998年末までの1年間の粗死亡率は9.2%であり, 昨年度と同水準であった. 透析導入症例の平均年齢は62.7 (±13.9, ±標準偏差) 歳と一層の高齢化が認められた. 透析導入症例における原疾患では, 今回初めて糖尿病性腎症が35.7%と最も多く認められる原疾患となり, 慢性糸球体腎炎は35.0%と昨年よりもさらに減少した.
1998年度は新たにアミロイドーシス治療方法, アミロイドーシス治療効果, シャント形態, シャント閉塞回数, 生活状況, 介護状況, 通院状況, 血流量, 透析液流量, そして透析液銘柄などが調査された.
透析アミロイドーシスの合併率は31.0%であった. 血液透析患者の血流量の平均は189.8ml/分 (±36.4; S.D.) であった. 独力で透析施設に通院している患者は全体の61.6%に過ぎず, 29.1%の患者が送迎を利用して通院していた.「無症状で社会活動可能」であった患者は全体の44.6%に過ぎず,「50%以上就床」あるいは「終日就床」と回答された患者が9.8%認められた. 全体の82.9%の患者は自宅で家族と同居しており, 独居患者は6.9%であった. 9.5%の患者は入院していた.
生命予後解析では, ビタミンD製剤を投与されている患者で有意に死亡のリスクが低く, 逆に透析前のカルシウム・リン積が40未満あるいは70以上の患者で有意に死亡のリスクが高いことが示された.
長い透析歴および360pg/ml以上のインタクトPTHは副甲状腺摘除術発生の危険因子となることが示された.

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