日本透析医学会雑誌
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副甲状腺細胞増殖にビタミンD受容体のみならずカルシウム感知受容体の関与が示唆された血液透析の1例
矢野 彰三杉本 利嗣神澤 道子北澤 理子北澤 荘平前田 盛小林 彰千原 和夫
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2000 年 33 巻 1 号 p. 53-59

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抄録

カルシウム感知受容体 (CaSR) は副甲状腺ホルモン (PTH) 分泌調節に重要な役割を果たしているが, 近年, 副甲状腺の細胞増殖にも関与することが示唆されている. 我々はビタミンD受容体 (VDR) およびCaSRの細胞増殖への関与を検討するため, 重度の二次性副甲状腺機能亢進症症例から得られた副甲状腺切片を用い免疫組織化学的検討を行った.
症例は34歳男性, 慢性糸球体腎炎による腎不全のため平成3年より維持血液透析中であったが, 極めて重度の二次性副甲状腺機能亢進症のため当院紹介となった. 血中補正Ca 10.9mg/dl, intact PTH 3500pg/ml, ALP 13729IU/L, osteocalcin 3140ng/ml, TRAP 44.0IU/Lと血中PTHおよび骨代謝回転の異常高値を呈した. ビタミンD経口パルス療法が無効であったため, 平成9年5月parathyroidectomy (PTx) を施行したところ, 骨痛, 貧血, Xp所見および骨代謝マーカー等検査値の著明な改善が認められた.
切除された副甲状腺は4腺で合計2.5g, 一部結節形成を伴うびまん性増殖を示していた. 組織標本を用いVDR, CaSRおよび増殖マーカーであるKi 67抗原に対する抗体を用いて免疫染色を行った. その結果, 結節内にはKi 67陽性細胞が多数認められ増殖能の高いことが示された. また, びまん性増殖を示す腺においても増殖能の高い部位でのVDR, CaSR発現は増殖能の低い部位に比し著明に低下していた.
PTH異常高値の病態は副甲状腺におけるVDR発現の低下のみならずCaSR発現の低下やこれらに起因する副甲状腺増殖能の亢進により説明されると考えられた.

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