日本透析医学会雑誌
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Thiamazoleの透析性の検討 -下痢を主症状としたため診断が困難であった甲状腺機能亢進症の1例を通して-
菊池 洋望月 貞二甲斐 浩治米村 睦子中尾 博徳
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2000 年 33 巻 12 号 p. 1445-1449

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抄録

症例は44歳男性. 1974年慢性糸球体腎炎による腎不全にて透析導入. 1996年5月より微熱を伴う治療抵抗性の下痢が出現し体重の減少, 肺水腫がみられるようになった. 精査目的で某病院へ入院し, 種々の検査を受けるも原因不明のまま退院となり1998年9月当院外来へ紹介された. 翌月, 甲状腺機能亢進症と診断しthiamazoleを投与したところ短期間のうちに微熱, 下痢は消失し血圧, 心拍数も低下した. 本例においてthiamazoleの透析性をPS-1.6UW, KF-18C, FLX-15GW, PAN-180SF, BK-2.1UおよびM150Bの6種類の透析膜で検討した. その結果thiamazoleの蓄積性とともに上記透析器による十分な透析性も明らかになった. これらの透析器を使用するかぎりthiamazoleは腎機能正常者と同じような方法で投与できると思われた.

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