日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者に発生した両側性腎細胞癌の5例
矢島 愛治稲生 綱政高橋 郁夫野崎 治重小川 由英富永 登志大坪 修大坪 公子蛭田 啓之
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2000 年 33 巻 12 号 p. 1475-1480

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抄録

慢性透析患者における腎癌の発生は, 極めて高率であるため定期的な検索が必要である. 当院およびその関連施設において1994年から1999年の6年間に毎年320-350名の慢性透析患者に対し定期的な画像検査が行われた. その結果, 両側性腎細胞癌5例が発見され手術治療を行ったので報告する. 性別では, 全例が男性であり, 診断時の平均年齢は47.2±3.3歳 (Mean±SD), 診断時の平均透析期間は228.0±53.2か月であった. また, 腎不全の原疾患は3例が慢性糸球体腎炎, 2例が原因不明であり糖尿病を合併した症例はなかった. また, 5例10腎のうち超音波検査により診断可能であったのは10腎, CTにより診断可能であったのは9腎, また血管造影により診断可能であったのは2腎であった. また, 5例のうち2例が両側同時性に診断, 治療を受け, 3例は異時性であった. 両側同時性に診断, 治療を受けた2例では両側で同じ病理診断であり, 異時性の3例では両側で異なっていた. 術後, 1例で, -過性に貧血の悪化を認めたが, 血圧の低下を認めた症例はなかった.

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