日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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Impact of residual renal function on the evaluation of dialysis adequacy and nutritional status in hemodialysis patients
Kenji TakashimaTomoko ShohjiYoshitaka MaedaSumiko MiuraAkiko MizunoShohgo FujitaNaoki Yoshiyama
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キーワード: Kt/V- (TAC) urea-PCR
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2000 年 33 巻 4 号 p. 261-266

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抄録

血液透析導入後も数年間にわたって自尿 (残存腎機能) を有する患者は少なくなく, 透析効率や栄養状態の指標を評価する際には, 残存腎機能を考慮する必要がある. 残存腎機能が透析効率・栄養状態の指標に与える影響を検討するため, 当院にて維持血液透析中の患者56人のうち, 同意の得られた無尿群 (group I: 10人), 有尿群 (group II: 8人) にてKt/V, (TAC) urea, PCRを比較した. Kt/V, (TAC) ureaは両群間で差がなかった (1.50±0.10 vs. 1.35±0.11, 44.2±2.25 vs. 42.5±1.95mg/dl) が, PCRは有尿群で有意に低かった (1.00±0.05 vs. 0.83±0.05g/day/kg, p<0.05). 両群間でのPCRの差は有尿群で蓄尿生化学検査により蛋白摂取量を加味する (Total PCR) ことにより, 相殺された (1.00±0.05 vs. 1.08±0.04g/day/kg). また尿量が500ml/day以上の患者21名のうち, 食事記録の得られた13人の検討では蛋白摂取量はPCRよりもTotal PCRにより強い相関を認めた (r:0.01 vs. 0.57). 以上から特に透析導入後数年以内の残腎機能を有する患者ではPCRを過小評価する可能性があり, 蓄尿生化学検査による補正を行う必要がある.

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© The Japanese Society for Dialysis Therapy
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