日本透析医学会雑誌
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透析患者における洗浄液量増加による〓痒軽減効果の検討 -免疫学的因子を中心として-
西本 幸弘西本 裕美子斉藤 研一杉崎 徹三
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2000 年 33 巻 4 号 p. 287-295

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抄録

ダイアライザー洗浄液量の増加による〓痒軽減効果・抗〓痒薬投与量ならびに〓痒関連因子について検索した. Study 1として, 血液透析者 (〓痒群15名・非〓痒群5名) を対象に洗浄液量1500mlの期間と, 洗浄液量2000mlの期間における〓痒症の重症度と抗〓痒薬 (Glycyrrhizin, Neurotropin, Ketotifen fumarate) の使用量を経時的に検討した. Study 2として, 血液透析者 (〓痒群n=7, 非〓痒群n=8) を対象に洗浄液量2000mlにて透析前・透析開始後15分・透析開始後4時間のIgE値, ヒスタミン値, C3a値, ソマトスタチン値を測定した. Study 3として, 〓痒の有無にかかわらず同一の血液透析老7名について洗浄液量1000ml期間と2000ml期間のIgE値, ヒスタミン値, C3a値, ソマトスタチン値について比較検討した. Study 1において, 洗浄液量増加により自覚症状が有意 (p=0.0007) に軽減した. 抗〓痒薬については不要例6名 (40%), 減少例5名 (33%)・不変例4名 (27%) であった. Study 2において, IgE値・ソマトスタチン値は〓痒群にて透析中いずれも高値傾向を示した. ヒスタミン値は両群とも透析前に高値を示し15分値にて低下傾向を示した. C3a値は両群とも15分値で高値であったが両群聞で有意差を認めなかった. Study 3において, IgE値は洗浄液量増加により低下する傾向であり, ソマトスタチン値は有意 (p<0.05) な低下を認めた. ヒスタミン値とC3a値は両群間で有意差を認めなかった. 今回の結果より洗浄液中に〓痒起因因子の存在の可能性とIgE, ソマトスタチンの関与が推察された. 〓痒を有する症例にはダイアライザーの十分な洗浄が必要であると考える.

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