日本透析医学会雑誌
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シャント温存を目的としたシャント部動・静脈瘤形成術
早川 邦弘名嘉 栄勝青柳 貞一郎宮地 系典石川 博通畠 亮塩田 潤田中 重光田中 新樹
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2000 年 33 巻 8 号 p. 1149-1152

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抄録

我々はすでに内シャント吻合部に発生した動・静脈瘤に対し, 内シャントを温存する動・静脈瘤形成術を報告した. 今回, 本術式を施行した症例の長期予後について検討した.
対象は1995年7月から1999年8月までの間に本術式を施行した10例である. 術式は内シャント動・静脈瘤の正常血管構築を保っている部分を残し, 仮性の瘤を形成している部分の壁を適切なサイズに形成した後に折りたたむように連続, 結節縫合で補強, 同部分のシャント血流を温存した. 全例で予定通りの手術を施行することができた. 1例は術後7か月で血管形成部に血栓による内シャント血流不全を生じ, 内シャントの再建を行った. しかし, 残りの9例は術後25か月の観察期間中, 良好なシャント血流を維持することができた. 観察期間中に瘤の再発, または新たな部位の瘤形成をみた症例はなかった.
今回の結果から, 本術式は長期においても内シャント温存の点から意義のある術式であると考えた.

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