日本透析医学会雑誌
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新しい透析用人工血管Venaflo®の使用成績
平中 俊行木村 英二中村 順一山川 智之金 昌雄奥野 仙二加藤 禎一
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2001 年 34 巻 10 号 p. 1313-1317

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抄録

透析用人工血管として新しく開発されたカフ付きグラフトVenaflo®と, 同じcarbon-polytetrafluoroethylene (carbon-PTFE) 製ストレート型グラフトCarboflo®とのランダム化比較試験を行った. Venaflo®症例 (n=30) とCarboflo®症例 (n=30) との間で, 年齢, 性別, 糖尿病合併, 高血圧合併, 抗血小板療法の頻度, シャント手術回数, 透析期間に差を認めなかった. 一次開存率は術後6か月, 12か月においてVenaflo®症例はそれぞれ42.6%, 29.0%であり, Carboflo®症例はそれぞれ72.6%, 42.9%であった. 二次開存率は術後6か月, 12か月, 18か月においてVenaflo®症例はそれぞれ86.4%, 77.6%, 77.6%であり, Carboflo®症例はそれぞれ96.6%, 90.5%, 84.1%であった. 一次開存率, 二次開存率とも両群間で有意差を認めなかった. 術後3か月未満の早期血栓閉塞はVenaflo®症例8例, Carboflo®症例2例に認められ, Venaflo®症例に多い傾向があった. 術後3か月時に試行した造影検査では, 静脈狭窄の頻度に差を認めなかった. Venaflo®グラフトは従来のストレート型carbon-PTFEグラフトと比較して, 開存性の向上や静脈狭窄の減少を認めなかった.

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© 社団法人 日本透析医学会
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