日本透析医学会雑誌
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腹膜組織変化の指標としての排液中IL-6測定の有用性
吾妻 眞幸宮崎 哲夫内藤 秀宗依藤 正彦藤森 明
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キーワード: 排液中IL-6, 腹膜組織変化
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2001 年 34 巻 13 号 p. 1519-1523

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抄録

腹膜組織変化の正確な把握は, 硬化性被嚢性腹膜炎の予防に不可欠である. しかし, 組織障害を正確に反映する検査方法や測定項目については, 未だ明らかにはされていない. そこで, 我々は, CAPD開始直後から経年的に上昇を始めるCAPD排液中のIL-6が, 腹膜機能検査や腹膜組織障害の指標となりうる可能性について報告してきた. 今回は, 排液中のIL-6と腹膜組織障害の関連を証明するため, 壁側腹膜を採取できた4症例 (生検群) を対象として, 2.5% PD液2L貯留後の排液中のIL-6の変化を, 組織障害の程度で比較するとともに, 腹膜組織変化がないと考えられるCAPD歴が, 28.2±3.2か月 (mean±SD) の安定した外来通院を行っている10症例をコントロール群として, それぞれの群に2.5% PD2液2Lを貯留し, 貯留開始から1時間毎に6時間目までの排液中のIL-6を測定した. その結果, コントロール群のIL-6値は, 1時間目は測定感度以下であったが, その後は経時的に上昇を認め, 6時間値は29.8±3.6pg/mlとなった. 生検群の4症例ともコントロール群に比して, 貯留1時間値からIL-6が測定可能であり, かつ1時間毎の経時的変化においても高値を示した. 組織変化では4症例とも腹膜中皮細胞下組織の線維化, 中皮細胞の脱落や変性を認めた. 特に腹膜中皮細胞下組織の炎症細胞浸潤, 高度な線維化および血管周囲炎を認めた1例の排液中のIL-6は, 1時間値から24.2pg/mlとなり6時間値は96.4pg/mlまで上昇を認めた. この結果より, 腹膜組織障害があれば, 1時間目からIL-6は測定可能となり, またその障害の程度によりIL-6の分泌量に差を認めることが明らかとなった.
以上より, 排液中のIL-6は組織障害の程度を判定する有用な指標となる可能性が考えられた.

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