日本透析医学会雑誌
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一過性に自己抗体が出現した腸管出血性大腸菌O157感染後血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) の1例
小根森 元清水 俊彦末永 健二
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2001 年 34 巻 13 号 p. 1561-1565

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抄録

血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) は, 血小板減少症, 細小血管障害性溶血性貧血, 発熱, 神経症状, 腎機能障害を特徴とする疾患である. 近年, 特異的なvon Willebrand因子切断酵素が正常人の血清から分離され, 非家族性TTPは, 自己免疫による後天的なvon Willebrand因子切断酵素の機能不全と考えられている.
今回我々は, 腸管出血性大腸菌O157感染後TTPの経過中に, 一時的に自己抗体が出現した症例を経験したので報告する.
患者は50歳の女性で, 腹痛, 下痢, 下血を主訴として当院入院. 入院翌日に便培養でenterohemorrhagic Escherichia coli; EHEC (O157, ベロ毒素産生型) が検出されたため, EHEC感染症と診断し抗生物質の投与を開始した. 入院後第5病日の血液検査で, 貧血 (Hb 11.0g/dl) と血小板数の減少 (2.6万/μl) と血清クレアチニン値の軽度上昇 (1.0mg/dl) がみられた. 検尿では尿蛋白と尿潜血が, また末梢血液像では破砕赤血球を認めた. 同日夜には神経症状が出現したため, TTPと診断し凍結血漿を用いた血漿交換療法を開始した, 血漿交換は計6回施行した. 第6病日の採血で抗血小板抗体PA IgGの高値 (249.0ng/107 cell) とLEテストの陽性を認めたが, 第27病日にはいずれもほぼ正常化した. 本症例から, 腸管出血性大腸菌感染症に続発したTTPにも, 自己免疫が関与していることが推測された.
TTP/HUS (hemolytic uremic syndrome) の鑑別には, PA IgGなどの自己抗体も有用であると考えられた.

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