日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析症例におけるColestimideのリン吸着剤としての有用性
伊達 敏行川下 誉晃佐竹 伸由
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2001 年 34 巻 2 号 p. 111-117

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抄録

慢性血液透析症例において胆汁酸吸着作用を持つ高コレステロール血症治療薬のColestimideを投与中に, 血清リン (P) 濃度の低下する症例が認められたことに着目し, Colestimideにリン吸着剤としての血清P濃度低下作用があるか否かを明らかにする目的でprospectiveな検討を行った. 慢性血液透析症例31例に対し, Colestimideを4週間投与し投与前後各4週に渡り比較検討した. 1) 血清P濃度は, 投与前 (4, 2, 0週) に差を認めず, 投与経過 (0, 1, 2, 3, 4週) は有意に低下し (p<0.0001重複測定分散分析), 投与前6.1±1.1mg/dlから投与2週後5.5±1.2mg/dl, 3週後5.4±1.1mg/dl, 4週後5.3±1.1mg/dlと, 投与前と比較すると2週以降に有意な低下を認めた (Dunnett多重比較). 2) 血清総カルシウム (Ca) 濃度は, 投与前 (4, 2, 0週) に差を認めず, 投与経過 (0, 1, 2, 3, 4週) は有意に低下し (p=0.0029重複測定分散分析), 投与前9.8±0.6mg/dlから投与3週後9.5±0.8mg/dl, 投与4週後9.5±0.7mg/dlと, 投与前と比較すると3週以降に有意な低下を認めた (Dunnett多重比較). しかし, 血中イオン化Ca濃度は投与前2.61±0.15mEq/lから投与後2.58±0.16mEq/lと投与前後ではほぼ不変で, 血清総タンパク濃度とアルブミン濃度も不変であったことから複合型Ca濃度の低下が示唆された.
以上より, Colestimide投与にて高Ca血症を起こさずに血清P濃度のコントロールと活性型V-D剤の投与が可能になるものと思われ, Colestimideがリン吸着剤として有用であることが示唆された.

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