日本透析医学会雑誌
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末期腎不全患者に対する透析, 腎移植の選択, 生体腎移植の倫理的問題に関する検討
大門 正一郎段 一志岡本 雅彦大森 吉弘吉村 了勇
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2001 年 34 巻 2 号 p. 131-135

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抄録

当院腎臓内科外来通院中のクレアチニン3mg/dL以上の慢性腎不全患者, 血液透析通院患者それぞれに対し, 腎移植の適応, 肉親からの生体腎提供の有無について, 調査した. 慢性腎不全患者39人中15人が将来腎移植適応と考えられ, 全員が透析よりも腎移植を希望し, うち9人に肉親からの生体腎提供が可能であった. 血液透析患者86人中31人が腎移植適応と考えられ, うち11人が腎移植を希望したが, 全員肉親から腎提供を得ることはできなかった. 透析導入前の患者に比べ透析導入後の患者は, 腎移植希望の傾向が弱かったが, 肉親からの生体腎提供に対する遠慮とも考えられた. 1997年以降12例の末期腎不全, 透析患者に対し生体腎移植が施行され, その経過は現在まで良好である. 生体腎移植は倫理的問題もあるが, 死体腎提供が極端に少ない現時点では, 末期腎不全患者に対する重要な治療法であり, 十分に情報を与えればより多くの症例を得ることが可能と考えられた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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