日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
慢性血液透析患者にみられる高ホモシステイン血症の治療法の検討
坂田 洋一目黒 輝雄
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 34 巻 4 号 p. 243-248

詳細
抄録

血中ホモシステイン (Hcy) レベル高値は, 血栓症や動脈硬化の危険因子の一つであることが最近明らかにされた. 腎不全患者にみられる高Hcy血症の原因は, 腎不全による排泄障害と代謝障害がその原因として考えられている. 慢性血液透析 (HD) 患者のHcyレベルを低下させるには, ビタミンB6, ビタミンB12および葉酸の高用量, 長期間投与が必要であるといわれている. 本研究では, そのうち最も効果の著明な葉酸について, 投与方法と, 至適量の検討を行った. 対象はHD患者180名で, そのうち血中Hcyレベルが35nmol/ml以上の患者を, 薬剤, 投与方法の違いにより, 無作為にいくつかの群に分けて検討した. 葉酸5mgを連日投与4週間, 透析日のみに投与4週間, および, 透析日のみに4週間投与した後, 週の最終透析日の後にのみ, さらに24週間投与した群に分けた. 結果, 連日投与群, および, 各透析日後にのみ投与した群では, 血中葉酸レベルは, それぞれ正常値上限の60倍および, 7倍に上昇したが, Hcyレベルの低下はいずれもほぼ等しく, 約57%であった. 予め, 透析日のみに投与し, その後, 24週間, 週に1回のみ投与し, 中止後, さらに16週間経過を観察した群の解析からは, 血中葉酸レベルを正常値上限の2倍から4倍くらいに維持すれば, 総Hcyレベルを低値に維持することが可能であるが, 2倍以下になると再上昇することが示された. 透析によりHcyの約40%が除去されることを考慮すると, 60nmol/ml以下の高Hcy血症の患者では, 上記のような最小量の葉酸投与で, 葉酸レベルを正常の2倍から4倍に維持すれば, 総Hcyレベルを正常値以内に保つことが可能であることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top