日本透析医学会雑誌
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透析患者における大動脈-末梢動脈の脈波速度の検討 超音波パルスドプラ法による検討
佐々木 信博安藤 康宏井岡 崇有阪 弘明島野 靖正高野 隆一増永 義則草野 英二浅野 泰
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2001 年 34 巻 4 号 p. 249-256

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抄録

透析患者の動脈硬化は長期予後の重要な規定因子である. 脈波速度 (PWV) は動脈硬化の非侵襲的診断法として確立しているが, 透析患者のPWVの評価は一定していない. 今回我々は, 透析患者の大動脈-末梢動脈でのPWVについて検討した. 疾患群 (D群) 86例 (糖尿病 (DM): 13例, 血液透析 (HD): 29例, DM+HD: 32例, 腹膜透析 (CAPD): 12例), 対照群 (C群) 47例において, 総頸動脈 (Ca), 上腕動脈肘部 (Br), 前脛骨動脈 (Ti) の3点で超音波パルスドプラ法を用いて血流波形を記録し, 心電図R波ピークから血流立ち上がりまでの時間 (CT) を求め, Caと他部位の時間差 (ΔT), 2点間の距離 (L) から求めたPWV (L/ΔT) を拡張期血圧で補正した (PWVc). また透析中の経時変化も追跡し, preliminaryでは腹部大動脈臍部 (Ao) においても測定した.
各部位のCTは互いに相関し, Ti-CaΔTは年齢と逆相関を示した. Ti-Ca PWVcは年齢と正相関し, D群で有意に高値であった. Ti-Ca PWVcを従属因子とし, 年齢, 各疾患を独立因子とした重回帰分析においては, 年齢とDMが強い規定因子であった. Ti-Ca PWVcと透析歴の間には相関がみられなかった. Ti-Ca PWVcは透析後に有意に増加し, 除水量との間に有意な正相関が認められた.
本法のTi-Ca PWVcは, 年齢と強い正相関を示し, 大動脈-末梢動脈までの長い区間での測定のため, 動脈硬化性変化をより鋭敏に反映する可能性がある. Ti-Ca PWVcにおいて, 年齢とDMが強い規定因子となり, HDの有無は有意ではなかった. また, PWVは透析後に有意に増加するため, 透析患者では測定条件に留意する必要があり, PWVの規定因子として循環血液量が関与している可能性が示唆された.

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