日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
Hepatitis B surface antigen clearance long after starting hemodialysis in a 70-year-old maintenance hemodialysis patient
a retrospective study on hepatitis B virus markers and liver function for 10 years
Fumihiko HinoshitaKenji OkudaYasushi Asano
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 34 巻 4 号 p. 263-269

詳細
抄録

一般にB型肝炎は, B型肝炎ウイルスの解明と治療の確立により少しずつ減少し, 以前に比べると維持透析患者でもB型肝炎表面抗原 (hepatitis B surface antigen) が陽性化したりB型肝炎ウイルスによって肝炎を起こす頻度が減少してきている. しかし, 血液透析患者がB型肝炎ウイルスの感染によってB型肝炎表面抗原が陽性化した場合, 免疫能が弱いため, 12か月経過しても駆逐できていなければほとんどがそのままキャリヤーになってしまうともいわれている. 今回我々は, 透析導入時にB型肝炎ウイルスキャリヤーであることが確認されていたものの, 数年後にB型肝炎表面抗原が陰性化した70歳男性の維持透析症例を経験し, ウイルスマーカーや肝機能などについてretrospective studyを施行した. 本症例では, 透析導入後, B型肝炎コア抗体 (hepatitis B core antibody) が陽性となったが, 5年後にはB型肝炎表面抗原が陰性化し現在に至るまで陰性のままであった. B型肝炎表面抗原のtiterが下がり始めた時期に一致して一過性の血清ALT値の上昇が認められた. 透析患者におけるB型肝炎表面抗原のseroconversionは比較的珍しい現象であるだけでなく, その臨床経過を10年間の長期にわたって調査した報告はなく, 今後, B型肝炎キャリヤーの取り扱いや病状の進展, 予後を予測したり評価したりするうえで臨床的に意義深いものと考え報告する.

著者関連情報
© The Japanese Society for Dialysis Therapy
前の記事 次の記事
feedback
Top