日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
A case of gastric antral vascular ectasia in the maintenance hemodialysis patient
Our case and summary of the relevant literature in Japan
Kazuto InoseKazunari KankeMasafumi MisawaYasuhiro OkuboRyoji YoshidaFumio IwabuchiTakuji NaruseMakio Mukai
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 34 巻 4 号 p. 271-279

詳細
抄録

高度の進行性貧血を呈した慢性血液透析患者に合併した胃前庭部毛細血管拡張症の一例を報告する. 患者は60歳男性で, 慢性腎不全の原疾患は慢性糸球体腎炎. 6か月前から貧血が進行しヘモグロビン4.0g/dlまで低下した. 内服治療に全く効果なく貧血の改善が認められず, 繰り返しの輸血を必要とした. 初期の胃内視鏡検査では, びらん性胃炎や易出血性胃炎と診断されたが, 十分な観察にて胃粘膜表層の血管拡張像を認め, 組織所見から胃前庭部毛細血管拡張症と診断した. 入院後, 内視鏡的焼灼療法を施行し, 貧血の改善をみた. 本症例のように, 出血の危険の伴う慢性血液透析患者においても, 内視鏡的焼灼療法を安全かつ有効に施行できた.
胃前庭部毛細血管拡張症は, 最近になって明らかとなった疾患概念で, 比較的稀な疾患であるが, 上部消化管出血をきたす原因疾患の一つである. 消化管出血の多くの原因として血管異形成病変は多く認められているにもかかわらず, 我々が検索した範囲では, 血液透析患者に併発した胃前庭部毛細血管拡張症の論文報告は, 日本では現在までに少数例であった.
本症例のように, 本疾患は内視鏡所見や胃粘膜表層生検では容易に胃炎と診断されがちで, 難治性の貧血を呈する患者に遭遇した場合は, 常に胃前庭部毛細血管拡張症の可能性を念頭に置き, 十分な観察や生検を進めてゆかなければならない.

著者関連情報
© The Japanese Society for Dialysis Therapy
前の記事 次の記事
feedback
Top