日本透析医学会雑誌
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選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) により慢性膵炎の急性増悪をきたした透析患者の1例
高橋 真生北野 優里須田 昭夫
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2002 年 35 巻 2 号 p. 115-117

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抄録

症例は25歳の男性. アルポート症候群による慢性腎不全にて透析歴12年の患者であり, 慢性膵炎を合併している. 1998年ごろよりパニック障害を発症し, 2000年12月より塩酸パロキセチン水和物による治療を開始した. 服用開始21日目の血液検査で膵酵素の急上昇を認めたが自覚症状はなく, 他覚的所見でも異常を認めなかった. 腹部エコーや腹部CTでも軽度の膵腫大を示すのみであった. 2001年5月, 塩酸パロキセチン水和物の中止にて膵酵素は速やかに低下したがパニック障害に対して塩酸トラゾドンを開始したところ, 再び膵酵素の上昇を認め, 塩酸トラゾドンの中止にて膵酵素は低下した. SSRI (selective serotonin reuptake inhibitors) と系統の異なるスルピリドに変更したところ膵酵素の上昇はなかった.
SSRIによる慢性膵炎の急性増悪と考えられ, 報告する.

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