日本透析医学会雑誌
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二次性副甲状腺機能亢進症 (II°HPT) 患者の副甲状腺摘除術 (PTx) 前後における骨代謝マーカーの経時的変化の検討 -破骨細胞形成抑制因子 (OPG) の関与の可能性について-
武田 真一佐々木 信博伊藤 千春野崎 裕美井上 真増永 義則高野 隆一飯村 修安藤 康宏草野 英二浅野 泰
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2002 年 35 巻 4 号 p. 243-248

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抄録

目的: 二次性副甲状腺機能亢進症 (II°HPT) では副甲状腺摘除術 (PTx) 後, 骨代謝マーカーは著明な変化を示すが, 確定的な見解は得られていない. われわれは, 31例のII°HPTに対して32回のPTxを施行し, 術前, 術後において骨代謝マーカーを経時的に観測し, これまでの報告と比較・検討を行った. 31例の内訳は男15例 (うち1例は2回PTx施行), 女16例で, 平均年齢は53.1±1.4歳, 平均透析期間は14.5±0.8年だった. また, 近年新規サイトカインとして注目されている破骨細胞形成抑制因子 (OPG) も測定し, PTx後の骨代謝への関与の可能性も検討した.
結果: 術前では血清alkaline phosphatase (ALP): 615.9±113.8IU/Lおよびosteocalcin (OC): 326.8±37.5ng/mLと上昇を認め, ともに血清intact-PTH (iPTH) 値と有意な正の相関 (それぞれ, r=0.621, p<0.001, r=0.667, p<0.01) を認めた. また術前は高カルシウム (Ca; 10.11±0.13mg/dL) および高リン (IP; 5.85±0.24) 血症を呈していたが, 血清Ca, IP値ともにPTx 6時間後より有意な低下が認められた. 一方, 血清ALP値は有意な上昇が認められ, いわゆるHungry bone syndrome (HBS) の病態を呈した. PTx後の血清Caの最低値 (minCa) と術前の血清ALP値 (ALP〈前〉) との間には, 負の相関がみられた. 一方, 血清OPG値はPTx前後で有意な変化は認められなかった.
結論: II°HPT患者においてはPTxによりHBSを呈し, 術前の血清ALP値が予見因子になる可能性が示唆された. 血清OPG値はPTxによる変化を認めず, OPGがPTx後の骨代謝の変化に影響する可能性は低いと考えられた.

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