日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
血液透析患者におけるポリウレタン製人工血管 (Thoratec® Vascular Access Graft, TVAG) とExpanded Polytetrafluoroethylene Graft (E-PTFEG) の早期開存率の比較
大坪 茂森 典子長井 幸二郎松尾 研前原 陽子新田 孝作秋葉 隆二瓶 宏
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 35 巻 6 号 p. 1125-1129

詳細
抄録

血液透析患者において, ポリウレタン製人工血管であるソラテック®人工血管 (Thoratec® Vascular Access Graft, TVAG) とExpanded Polytetrafluoroethylene Graft (Gore-tex® Stretch vascular grafts, E-PTFEG) との開存率の比較を行った. TVAG症例 (n=38) とE-PTFEG症例 (n=23) との間で, 性差, 年齢, 透析期間, 糖尿病合併, 心血管疾患合併, 抗血小板療法の頻度, 抗凝固療法の頻度に差を認めなかった. 一次開存率はTVAG, E-PTFEGそれぞれ6か月で75.4%, 73.7%, 12か月で59.2%, 57.3%であった. 二次開存率はTVAG, E-PTFEGそれぞれ6か月で94.3%, 87.0%, 12か月で75.4%, 66.7%であった. 一次開存率, 二次開存率ともに両群間で有意差は認めなかった. 初穿刺までの期間は, TVAG 15.1±3.8日, E-PTFEG 19.9±5.0日であり, 有意差をもって (p=0.003) TVAGのほうが早期に穿刺可能であった. TVAGは血液透析の人工血管として第一選択となり得るが, 感染に弱い点, 屈曲しやすい点より易感染症例や肘関節をこえる症例ではPTFEGが望ましいと考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top