日本透析医学会雑誌
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特発性門脈圧亢進症による高アンモニア血症を伴った慢性腎不全の1例
則行 敏生嶋谷 邦彦新宅 究典
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2003 年 36 巻 7 号 p. 1279-1283

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抄録

門脈圧亢進症, 門脈大循環系シャントによる高アンモニア血症を有する慢性腎不全患者に対して血液透析を導入し, ラクツロース, 分岐鎖アミノ酸製剤の投与および維持血液透析で血清アンモニア濃度のコントロールと症状の改善維持を認めたので報告する. 症例: 76歳, 女性. 臨床経過: 1999年6月より, 腎機能障害を認め, 保存的治療が行われていたが, 2001年4月27日腎機能の悪化, 5月1日無尿, 意識レベルの低下を認め血液透析目的で当院紹介入院となった. 肺うっ血, 代謝性アシドーシス, 高アンモニア血症 (369μg/dL) を認め緊急血液透析導入. 腹部CT, 腹部血管造影検査で肝硬変所見を認めず, 門脈全体の狭小化, 左胃静脈を介する門脈下大静脈系シャントが存在した. 特発性門脈圧亢進症に伴う高アンモニア血症と診断され, 透析導入初期には高アンモニア血症による精神症状を認めたがラクツロース, 分岐鎖アミノ酸製剤の併用により症状の改善を認め, 現在外来透析中である.

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