日本透析医学会雑誌
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透析導入期に発症した重症レジオネラ肺炎の1例
満生 浩司藤方 史朗江里口 雅裕木村 廣志原田 篤実後東 久嗣
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2004 年 37 巻 3 号 p. 257-261

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抄録

症例は44歳の男性. 悪性高血圧症による慢性腎不全のため外来治療中であったが, 2003年には血清クレアチニン (Cr) が10mg/dLを超え, 透析導入間近であった. 同年5月より下痢出現, 6月には発熱もみられるようになった. 同月7日, 呼吸困難が出現, 9日当科に緊急入院した. 両側の著明な肺水腫様浸潤影, 白血球数23,100/mm3, CRP34.72mg/dLと高値, Crは14.45mg/dLで, 著明な低酸素血症 (PO2 49.7mmHg, O215L下), 代謝性アシドーシス (HCO3-6.2mEq/L) と高カリウム血症 (7.9mEq/L) を伴っていた. さらにミオグロビン26,900ng/mLと横紋筋融解症の併発を認めた. 直ちに血液透析を開始し, 2日間で8kg除水したが, 呼吸不全や肺浸潤影に改善はみられなかった. この段階で重症肺炎に伴う成人呼吸窮迫症候群と判断し, ステロイドパルス療法, 持続的血液濾過透析をはじめとした集中治療を開始, 人工呼吸器管理となった. 比較的徐脈, 横紋筋融解症, 下痢の既往よりレジオネラ肺炎を疑い, 抗菌薬としてerythromycinとciprofloxacinも併用した. 第5病日に尿中レジオネラ抗原陽性が判明. rifampicinを追加し抗菌療法を強化した. その後も集中治療を続けるも低酸素血症, 肺浸潤影の改善はみられず, 第8病日永眠された. 後日, 喀痰分離培養よりLegionella pneumophlia (血清型1群) が検出された. 本症例は周囲に集団発生を認めず, 慢性腎不全を基礎とした散発性の日和見感染と考えられた. レジオネラ肺炎は頻度は少ないものの早期に適切な治療がなされなければ致命率が高く, 腎不全は発症の危険因子の-つとされることから, 慢性腎不全患者での肺炎では常に鑑別すべき重要な疾患と考えられる.

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