日本透析医学会雑誌
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慢性維持透析患者のintact PTH値測定意義に関する検討
特にCa濃度, ビタミンDパルス静注療法による影響
田中 章郎伊藤 恭彦藤田 芳郎檀原 敦河合 良介二村 奈津子長谷川 功百合草 憲勇永松 正渡邊 有三
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2005 年 38 巻 3 号 p. 197-203

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抄録

二次性副甲状腺機能亢進症 (2° HPT) の治療目標値は一般的にintact PTH 130-200pg/mL程度とされている. 一方, intact PTH値はCa濃度によって影響されることが知られている. 今回, intact PTH値が血清Ca値, ビタミンD (VD) パルス静注療法によってどの程度影響を受けているか検討した. 当院の慢性維持血液透析患者123名を対象とし, 同時測定されたintact PTHとC-PTHの相関関係を1) 血清Ca濃度, 2) 糖尿病の有無, 3) VDパルス静注療法施行の有無から検討した. Conventional VD治療下では, Ca値高値群 (10.6mg/dL以上), Ca正常群, Ca低値群間でintact PTHとC-PTHの回帰直線の傾きは明らかに異なっていた. VDパルス療法群に比しVD conventional療法群では, 血清Ca値によるintact PTH値への影響はより顕著であった. VDパルス療法群はconventional療法群に比し, C-PTHに対するintact PTH値は相対的低値を示した. VDパルス静注療法下では, 糖尿病・非糖尿病患者ともに, intact PTHが130-200pg/mLまで下降してもintact PTHに対するC-PTH値は依然高値を示し, intact PTHとC-PTHとの回帰直線は上方にシフトしていた. 今回の検討から, intact PTHは血清Ca濃度, VDパルス静注療法の有無により大きく影響を受けることが確認された. 2° HPTを治療する際, intact PTHの評価にはCa濃度を参考にすることが望ましく, さらにVDパルス静注療法施行の際には, 蓄積型PTHを参考にすることにより詳細な評価が可能となる可能性が考えられた.

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