2006 年 39 巻 3 号 p. 207-212
27歳男性の維持透析中のSLE患者で非結核性抗酸菌による皮下膿瘍を発症した1例を経験した. 2000年5月左足関節内側部の痔痛, 腫脹, 発熱が出現した. 同部の穿刺液の抗酸菌検査でMycobacterium intracellulareによる皮下膿瘍と診断した. Ethambutol (EB), rifampicin (RFP), sparfloxacin (SPFX), clarithromycin (CAM) の4剤併用療法と病巣部の切開排膿, ドレナージにより5か月後に治癒した. 膠原病や血液透析患者など, 免疫能が低下した患者は抗酸菌感染をきたしやすい. このような患者の皮膚感染症をみた時は, 起因菌として非結核性抗酸菌も念頭におき, 抗酸菌検査を行うことが必要と考えられた. また, 本症例では, 抗結核薬の多剤併用とドレナージを組み合わせた治療が奏功したと考えられた.