日本透析医学会雑誌
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肛門および多臓器に多発性透析アミロイド腫瘤を呈した血液透析患者の1剖検例
太田 英里子千田 佳子土肥 まゆみ氏家 一知井田 隆安藤 稔小林 大輔広川 勝〓春日 猛佐々木 成
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2006 年 39 巻 8 号 p. 1293-1297

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抄録

われわれは肛門にアミロイド腫瘤を形成した透析歴17年の血液透析患者の臨床病像を剖検結果とともに報告する. 剖検では肛門に腫瘤を形成しているほか, 腹腔内や皮下などにも多数の結節状アミロイド腫瘤が認められた. この患者は良性のIgGκ型の無症候性単クローン性免疫グロブリン血症が潜在していたが, アミロイド腫瘤はIgG染色, κ染色は陰性であり, すべてβ2, microglobulin染色で陽性を示したことから, 透析アミロイドーシスと考えられた. 腫瘤形成型の透析アミロイドーシスの報告は散見されるが, 本症例のように肛門を含め多臓器に及ぶ多発性の腫瘤形成を呈した透析患者の剖検所見を含む報告はない. 透析アミロイドーシスの発現様式のひとつとしても稀少であると考え, ここに報告する.

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© 社団法人 日本透析医学会
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