NPO法人伊能社中では、大きな爪痕を残した災害や戦争は、時の経過とともに記憶から薄れるという観点から、記憶を記録にし、アーカイブするという活動を行ってきた。本報は、京都府福知山市の高校で防災教育として導入された、防災アーカイブプロジェクトについてまとめたものであり、アーカイブ作成のためのフィールドワークとその情報の集約における教育効果を明らかにしたものである。
福知山市は、平成26年8月に発生した豪雨により大規模な被害が発生した。これに対して、市は水害に関する報告書iを作成し、防災の啓発を行っている。しかし、この報告書の内容は、防災や地理といった専門家向けとなっている。特に、今後の教訓として学んで欲しい若い世代にとって、経験や周りから伝聞した内容と、報告書の内容の一致は難しい。
そこで、実感ある防災教育を行うために、伊能社中が福知山市の高校と協同でアーカイブプロジェクトの導入と実践を行った。