心電図
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第25回 日本心電学会学術集会 学術諮問委員会提言シンポジウム
重症心室不整脈に対するリドカイン,ニフェカラント,アミオダロン静注薬の位置づけ
重症心室不整脈に対するアミオダロン静注の利点と問題点
志賀 剛
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2009 年 29 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

アミオダロンは,K+チャネル遮断作用ばかりでなく,Na+チャネルやCa2+チャネル遮断作用,交感神経抑制作用,甲状腺機能修飾作用などを有する.静注薬は,生物学的利用率が50%程度の低い経口薬と異なり,集中治療や緊急治療が必要な患者に確実な薬物投与を可能にした.
アミオダロン静注の利点は,多彩な薬理作用を有していることと血行動態,心機能に関係なく使用できることにある.その薬理作用は急性作用と慢性作用とでは異なり,急性作用はNa+チャネル,Ca2+チャネルの遮断作用が主で,K+チャネル遮断作用はIKrの抑制が優位といわれ,交感神経抑制作用も絡む.とくに低心機能,心不全例に伴うリエントリー性不整脈の抑制効果が期待されるとともに,トリガー性不整脈の抑制効果も認められる.
問題点としては,血圧低下と徐脈があげられる.緊急治療を要する例は血行動態が不安定で,なかにはショックをきたす例もある.また,QT間隔など心電図パラメータの変化が乏しく,薬理効果のモニタリングが困難である.さらに,血中アミオダロン濃度は,同じ用量で持続静注を行っていても時間とともに変化が認められ,薬物動態が複雑でその予測が難しいことがあげられる.

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© 2009 一般社団法人日本不整脈心電学会
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