心電図
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第17回頻拍症カンファランス
早期再分極症候群(異常J波)
野上 昭彦
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2009 年 29 巻 5 号 p. 375-384

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抄録
特発性心室細動の一つとして,下方・側方誘導に早期再分極を呈する早期再分極症候群(異常J波)が報告されている.下方・側方誘導の早期再分極は,健常者では3~5%にしか認められないのに対し,Brugada症候群,QT延長症候群を除外した特発性心室細動では31~60%に認められるとされる.その他,健常者や若年アスリートに認められる早期再分極と鑑別するための診断基準として,II,III,aVF,I,aVL誘導における0.1mV以上のJ点上昇の有無があげられる.早期再分極所見は,副交感神経興奮,β遮断薬,徐脈によって増強し,イソプロテレノール,キニジン,ジソピラミド,心房ペーシングで減少する.これらの変化はBrugada症候群における変動と似ているが,Naチャネル遮断薬による増強は認められない症例も多い.本症候群がBrugada症候群の亜型であるのかどうかをはじめとして,その詳細はいまだ不明である.
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© 2009 一般社団法人日本不整脈心電学会
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