心電図
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学術諮問委員会提言シンポジウム「自律神経と不整脈」
閉塞性睡眠時無呼吸症候群における不整脈発生と自律神経の関係
岩崎 雄樹
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2016 年 36 巻 1 号 p. 55-63

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抄録

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は,睡眠中に気道閉塞を生じることにより,様々な生理学的変化をきたし,高血圧や心血管事故の原因となることで注目されている.OSAでは心房細動をはじめとし,種々の徐脈性不整脈や頻脈性不整脈を合併する.不整脈の発生には,閉塞性無呼吸による胸腔内圧の変動に伴う血行動態の変化や低酸素血症,高二酸化炭素血症,中枢性機序,化学受容体反射,動脈圧受容体反射,心臓および肺の伸展による反射を介する自律神経活動の修飾が関与している.特にOSAに伴う心房細動の発生には副交感神経が重要な役割を果たしていることが,OSA実験モデルを用いた基礎研究で明らかになった.また,夜間に生じる閉塞性無呼吸の急性エピソードによる胸腔内圧および自律神経の変化のみならず,閉塞性無呼吸が長期間持続することにより,低酸素血症や心筋進展が生じ心臓の構造的リモデリングが進行して不整脈源性基質が形成され,より不整脈が生じやすくなる症候群であることも示されているため,OSAの早期診断と適切な治療が臨床上大切である.

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© 2016 一般社団法人日本不整脈心電学会
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