工学教育
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大学院ドクターコースの社会人学生がおかれている制約条件
柳田 雅明小林 信一廣松 毅
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1997 年 45 巻 3 号 p. 19-23

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抄録

わが国でも,社会人経験を有する者が,大学院ドクターコースへ入学することが増加している。しかし,ドクターコースにおける社会人入学者について主眼を置き教育研究環境を考察した学術的研究は,教育実践にまで踏み込んだ観点からのものはない。
以上の状況をふまえつつ,本稿は,その第2年度に10大学13研究科を調査地として得られた調査プロジェクトの成果の一部を,筆者らの文責で書き改めたものである。
今回焦点を絞ったのは,その知見の中で,特に問題点が多いと考えられ得る次の部分である。まず,主として,常勤職在職者では,時間的な制約に起因する多くの問題点が生じていること,また退職して学業に専念する者に対する奨学制度に問題点があること。さらに,社会人経験を有する入学者においては,そのかなりの部分が,現在政策的に推進されている方向である「高度な専門職業人」養成を目指すのではなく,大学教員等学術研究者になることを期待していることである。
これら状況について,定量的データの分析を含めて,事例研究から考察する。

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