1999 年 47 巻 4 号 p. 18-24
国立鹿児島工業高等専門学校の一部5年生(15名)を対象に,アメリカの大学で行われているテクニカルライティングコースを基本モデルとした工業英語授業をこの度実施した.技術用語や基本文例の暗記,理解に偏った従来の機械的,受け身型授業から離れ,ライターに本来求められるべきクリティカルな思考および問題発見・解決能力の育成を狙いとした.科学技術関連のインターネットニュース(英文)とケーススタディによる本格化した職場環境設定は,効果的なライティングとは何かを総合的に考察する本コースで有益な教材となった.また,読み手の立場から取り組んだ学生間の英文書交換,点検(批評および助言)作業も新鮮かつ効果的な役割を果たしている.テクノロジーのボーダーレス化とコンピューターによる技術革新の流れは,語学力の向上だけに止まらない新タイプの工業英語授業の可能性を示唆するものである.