2000 年 48 巻 4 号 p. 2-8
東京電機大学工学部電子工学科では,プログラミング教育の前段階として,1年生前期にコンピュータリテラシーに重点をおいた入門教育を実施している.全員が初めてコンピュータに接し,キーボードを操作するものとして授業を開始するが,レベルをどんなに低く設定しても,授業時間内では十分に理解できない学生が生じてしまう.このような学習遅滞の学生を放置すると,いわゆるコンピュータ嫌いへの道を歩むことは必定で,工科系の学生としては致命的な痛手となる.授業時間後に教師が個人指導を行うには限度があり,人間の教師なしで学習遅滞を改善するシステムの導入が望まれる.この要求に応えるものとして,マルチメディアを活用した個別復習システムを開発した.このシステムは既存のツールを利用して実現可能であり,開発の主眼はコンテンツの内容にある.現在までいくつかの項目についてコンテンツを開発して実用に供し,学習遅滞者および一度は理解したもののしばらく操作しなかったため内容を忘れてしまった者に対する復習に,効果的であるとの評価を得ることができた.