2001 年 49 巻 2 号 p. 21-28
日本社会の変容の過程で,技術者の倫理の重要性が認識され,工学系の高等教育課程でも,倫理教育が開始されている.工学倫理規定は,技術者が日々の職業活動の中で迫られる,判断や決断を下す際にその拠り所にすべき事項を整理したもので,抽象的な文章で綴られている.これを具体的な日常の場で時宜に応じて活用するためには,具体的な事項についての思考と討論の結果が,技術者として,さらには技術者集団としての判断として徐々に練り上げられていく過程を実際に経験させることが基本となる.