本校では平成14年度より,専攻科カリキュラムに「技術倫理」を新設した.専門分野の異なる複数教官が担当し,また事例を多く用いることによって,多様な観点から問題を捉える授業を試みた.技術者が直面する倫理的な問題に対して学生は関心を持っており,事例を通じた学習により,実践的な判断力を養うことは可能であると思われる.しかし,倫理的な感覚を養うためには,何よりも学生が積極的に授業に参加し,自ら問題を考えることが必要である.学生の関心を,学習意欲へとつなげる授業運営については不十分であり,今後の検討課題として残る.