教育医学
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ショートテニス用ラケットとボールを用いた 30分間グランドストロークラリー中の運動強度 ―熟練群と初心者の比較―
渡辺 完児渡辺 一志弘原海 剛米山 冨士子中塘 二三生
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2007 年 52 巻 4 号 p. 259-266

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抄録

 本研究では,ショートテニス用ラケットとボールを用いたグランドストロークラリー(ラリー)を30分間実施させた際の運動強度を明らかにし,このような運動が心肺機能の向上および適度な身体活動量を確保するための運動プログラムとして有用であるかどうかについて,技術レベルの違いを考慮に入れて検討した.本研究では,テニスの経験年数が3年以上を熟練群(n=10),ラリーが何とか続けることができる者を初心者群(n=10)とした.30分間ラリー中の平均心拍数は,初心者群(159±10 bpm)が熟練群(130±9 bpm)に対して有意な高値を示した(P<0.05).%V・O2maxの平均値は,初心者群(68%)が熟練群(46%)に対して有意な高値を示した (P<0.05).RPEは,両群ともに運動開始から徐々に上昇した.ラリー終了後のRPEの平均値は,熟練群が13.1,初心者群が14.0であった.エネルギー消費量は,初心者群(205 kcal)が熟練群(142 kcal)に対して有意な高値を示した (P<0.05).本研究における両群の30分間ラリー中のエネルギー消費量は,ACSMの勧告による1日の目標エネルギー消費量(150-400 kcal)に概ね該当した.このように,本研究における30分間ラリーは,生理的な適応を示すのに適度な範囲の運動といえる.  以上,本研究におけるショートテニス用ラケットとボールを使用した30分間ラリーは,両群の心肺機能の改善が期待でき, 適度な身体活動量が確保できるであろう.しかしながら,この運動そのものは単調な運動であることから,より楽しく運動を行うために好みの音楽を聴いたり,違った運動を加えるなどの必要性があることが示唆された.

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2007 日本教育医学会
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