日本環境感染学会誌
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報告
感染領域における病院での倫理的取り組みの現状
遠藤 英子土井 まつ子篠田 かおる山幡 朗子
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キーワード: 医療倫理, 感染, 倫理委員会
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2009 年 24 巻 4 号 p. 255-259

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抄録

  感染に関する倫理的諸問題を病院でどのように扱われているかを調べる為に2005年に全国調査をした.対象は地域別,病床数別の層別2段サンプリング法にて300~499床202施設,500~699床202施設,700床以上158施設を無作為抽出し,感染管理者562名を対象にアンケート調査を無記名で行った.調査内容は病院の属性,倫理面に関する組織的取り組みについてであった.回収率は43%(244施設)であった.
  倫理的配慮では,「入院患者を感染者であることが第3者にわからないような配慮をしている」と回答した病院は74%,倫理委員会を設置している病院は93%であった.倫理に関するガイドラインがある病院は60%,倫理に関する問題発生時マニュアルがある病院は35%,倫理に関する職員教育を行っている病院は52%であった.倫理に関するガイドラインの内容は人権擁護39%,個人情報保護49%,情報開示49%,感染管理42%,医療安全47%,研究倫理42%,セクシャルハラスメント29%であった.倫理的な問題発生時の初期対応者は病院長・副院長の対応が一番多く,病床数300~499床・500~699床ともに約36%であった.委員会に委ねられている施設は26%であった.倫理委員会での検討内容が記載してあったのは59%で,感染に関する事項の記載は研究の中の1件のみであり,治療・研究に関しての検討が半数を占めていた.

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© 2009 一般社団法人 日本環境感染学会
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