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日本環境感染学会誌
Vol. 26 (2011) No. 1 P 30-34

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http://doi.org/10.4058/jsei.26.30

原著論文

  肺炎球菌ワクチンの有効性は死亡率減少や侵襲性肺炎球菌感染症予防について報告されているが,肺炎の発症予防については有効性が示されていない場合が多い.
  本研究では,「ワクチン接種者数と感染症の推移」および「ワクチン接種の有無による予後の検討」を行った.前者は,2006年9月から2009年8月までに当院で接種された肺炎球菌ワクチン数,侵襲性肺炎球菌感染症数,肺炎球菌性肺炎数の推移を検討した.後者は,2008年9月から2009年8月までにワクチンを接種した群と当院総合内科に入院した群(非接種群)とで予後(死亡・肺炎発症)を評価した.
  肺炎球菌ワクチン接種者数は毎年有意に増加したが,侵襲性肺炎球菌感染症・肺炎球菌性肺炎については有意な減少を認めなかった.一方,肺炎球菌ワクチンを接種した群は非接種群に比べて有意に死亡率が低下した(Hazard Ratio [HR] 0.29; 95% confidence interval [CI] 0.18-0.40)ものの,肺炎の発生を有意に抑制しなかった(HR 0.83; 95%CI 0.65-1.11).
  当院でのワクチン接種普及の取り組みによって肺炎球菌ワクチン接種者は有意差を持って増加したが,侵襲性肺炎球菌感染症は減少しているものの有意差を示すことができなかった.肺炎球菌ワクチンの接種によって死亡率の有意な低下を認めたが,肺炎の発生については有意差を認めなかった.

Copyright © 2011 一般社団法人 日本環境感染学会

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