2011 年 26 巻 6 号 p. 339-344
救急隊員は傷病者の血液や体液に曝露する危険性に直面している.感染防護用具の選定や廃棄方法,手洗い場所など,標準予防策を中心とした感染防止対策に関する現在の救急隊員の意識や実態については明らかになっていない.
今回,埼玉県内消防署28か所に勤務する救急隊員384名を研究参加者として,質問紙による標準予防策に関する理解度や実践度を指標とした意識調査,および救命処置における標準予防策の実態調査を行った.その結果,救急隊員の資格によって標準予防策の理解度に違いが認められた.また,救急救命士は標準予防策の意識が高いにもかかわらず,必ずしも標準予防策に従って実践しているとは言えないことがわかった.今後は救急現場で標準予防策を普及していくため,救急隊員に対する標準予防策の教育を実施して知識を熟知させ,感染防止の意識や行動・態度を高めていくことが重要である.